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2012.06.15

雄国竹細工

6月7、8日と喜多方。9、10は会津若松から奥会津へ。
農閑工芸の調査のため4年生6名を連れての渋くて濃い旅。喜多方ではワラスゲ細工と竹細工を喜多方市の技術者達のご指導により実施。
両方ともに90才の先生も含まれていた。仮に60才からお仕事を初めても30年の大ベテランである。20才からとしたら70年。
ワラ細工では基本的な注連縄作りをご指導いただく。正月飾りに祖父が作っていたことを思い出す。ワラを縄にするという基本的な作業だが、やってみるとむずかしい。けど、できるとうれしい。
大先輩の先生方が楽しそうに教えてくれるので自然こちらも楽しくなってくる。
当たり前のことだが、教わりたい人がいて、そこに教えたい人がいる場は自然と締まった空気になり熱を帯びる。
もうひとつ、そこには方言を聞き漏らすことなく理解しなければ、という緊張感が漂う。
聞き取ることのできない言葉を前後の言葉で理解しながら会話を続ける。
90才の先生は遠慮などしない。そんなこと当たり前である。こちらにあちらの言葉をビュンビュン投げてくる。
先生が笑ったらすかさず笑い返す。意味は分からずとも。そして笑った後で意味を理解する。できないことも多いが気持ちは伝わる。
初日は筑波からの移動と午後のワラスゲ細工の実習で終了。
示現寺や温泉神社の大杉を見学後、旅館へ。
完成した注連縄を一同大切に抱えながら旅館に入る。ちょっと怪しい集団に見える。引率者はボーズ。旅館の方の表情に少しの変化が見られる。お話ししてやわらかい雰囲気となる。
朝の8時に不思議な歌声がスピーカーから旅館に響きわたる。
それは、カラオケ?リハーサル?
色んな所にとまってきたが、初めての体験。大きな音量の生声で歌謡曲。ムードが旅館に染入る。ムードのいらない朝にムードを注入されカゴ作りへと送り出された。
秋田でのイタヤ楓でのカゴ作りに続き、根曲がり竹でのカゴ作り。カゴの他にザルに挑戦した学生もいた。
すばらしい道具としての手を持つ先生方3名に丁寧なご指導をいただく。手の他に使う道具はただひとつ、ナタのみ。シンプル。
6角形の編み目を左右、上下に増やしながら竹を編んでいく。
頭で理解するというよりも、手と頭で理解しながら仕事を進める。秋田でのイタヤカエデを使ったカゴ制作の時も同じだった。途中、なぜか手が動かなくなったり頭が真っ白になる。そうなると何をしているのか分からなくなる。
先生方の強力な協力により全員完成。学生の顔に現われる作る喜びの表情、できた物を眺める喜びの表情を見てさらに喜ぶ。
カゴが完成した後、先生達に連れられて雄国沼へ。
標高1000M以上に生える根曲がり竹の林を見学。先生方は皆ご高齢であるが、竹林の近くに車を止めるやいなや全員がナタを片手に林の中へ散った。目には竹林しか映っていない。水を得た魚。笹を得たパンダ。笹からぼたもち。ほとんど子供のふるまい。

ナタを持った白髪の小学生、雄国沼の竹林に出現!注意せよ!とは、翌日の新聞には載っていなかった。
近くにはヤマブドウも自生。まさに造形素材の宝庫。

以前より喜多方の雄国で作られる雄国竹細工には感心が高かった。初めて見たのは3年前のこと。7寸程のザルを購入。やれた感じの独特な風情を持つ。
もともと雄国竹細工は農業の合間に作られ、農具の制作をベースに発展してきた。
僕が購入した小さなザル等は比較的最近になってから作られるようになったと聞く。
喜多方の気候・風土を背景に、一年を通した農業の仕事に組み込まれながら農閑期に制作されてきた。
専門的な竹工芸の職人として、竹細工に従事し作られてきたものというわけではない。必要以上に作り込まれたものではなく、一定の美しさを持ちながら用に耐える強度を持つ。なので値段も安く、日々の暮らしの中で遠慮せず使いたくなる風情を持っている。
雄国竹細工に使われる竹は根曲がり竹というもの。その名のごとく根から曲がって生えている。タケノコも生意気に曲がって生えてくる。
そして、このタケノコは灰汁が少なく山菜としての人気も高い。ヤマブドウも実はもちろんのこと、葉も天ぷらで食べるとおいしい。
根曲がり竹はチシマザサの別名で、笹にしては大きく、1.5〜3Mほどになるという。細い竹で秋田の箕作りにも使用されていた。稲刈り後の10月にひと冬の間に使う分の根曲がり竹を収穫する。
雄国沼で先生方と別れ喜多方市郷土民族館へ。そして喜多方に来たらいつも寄る平出竹店を見学して宿へ。
この日は農泊。喜多方を見下ろすすばらしいロケーション。そして食事の充実さに一同大満足。
夕食後、制作した竹細工を並べ、ザルに穴が開くまで見つめながら夜は更けていった。
朝食も大満足。デザートはムードではなくフルーツのたくさん入ったヨーグルト。
1泊2食ムード付きにご注意下さい。